湯を沸かすほどの熱い愛

主演╱ 宮沢りえ  監督╱ 中野量太2016年 ( 日本)

【ネタバレ注意】
哲学的には、「愛」は3つあるそうだ。
友愛「フィリア」、性的な愛「エロス」、無償の愛「アガペー」。
そしてタイトルにある「愛」とは、「アガペー」である。
夫の連れ子に対し惜しみない愛情を注ぎ、
夫の浮気相手の子どもにも同様の愛情を注ぐ。
そんな主人公に、周囲の人々は自然と心惹かれていく。
しかし主人公もまた母親の愛情を知らずに育った過去を持ち、
周囲への愛はその裏返しだとも言える。
本当の親の愛を知らないから、
愛とは何かを常に探していたのかも知れない。
そこには自己満足もあっただろうし、
もしかしたらそれが大半だったのかも知れない。
本当じゃない家族でも、
心さえ繋がっていればそれなりに幸せなのだ。
でも本心が求めていたのは、やっぱり生みの親からの愛だった。
愛を知らない主人公だったが、
最後は愛に満たされて旅立っていく。
ラストシーンは賛否両論あるだろうけど、
タイトルからくるオチとしてはこれが正解だろう。
「おくりびと」を観て間もない時にこの映画を観たせいもあり、
なおさら胸に響くものがあった。