やくたたず

主演╱ 柴田貴哉  監督╱ 三宅唱2010年 ( 日本)

「Playback」の流れで、三宅唱監督長編デビュー作も観賞。
そこには地方都市の日常が描かれており、ただそれだけだった。
高校生たちのひとりがいじめに合っていてそのうち殺人事件に発展するだとか、
働いている会社が実は盗みの集団だったとか、
無免許運転で事故を起こして罪をなすり合うとか、
そういうの一切ナシ。
(ラストにちょこっとあるにはあったが)
彼らの仕事は楽しそうじゃないし、
じゃれあって遊んでいるのも楽しそうじゃない。
登場人物たちが悪者なのか、普通の人なのかもよくわからない。
「やくたたず」というタイトルの意味もよくわからない。
そもそも、主演の柴田貴哉という俳優が誰なのかわからない。
でも、何となく観てしまう。
画面はモノクロ。
どこかのレビューに書いてあったけど、
つまりは三宅監督は日本のジョン・カサヴェテスだってことなのだろう。
であれば、わからないなりにわかる気がする。

Playback

主演╱ 村上淳  監督╱ 三宅唱2012年 ( 日本)

自分は三宅唱監督も、村上淳という俳優も知らなかった。
(村上淳はこれまで観てきた映画の中に数多く出演していたようだ)
映像はモノクロ、そして低予算。
観る前から不安要素満載だったものの、
ロカルノ国際映画祭に出品されたぐらいだから面白いのだろう。
と思いながら観賞。
雰囲気のある、なかなかいい映画だった。
ただ自分には理解できない部分や疑問点を少なからず感じたので、
その点をスッキリしてくれるとなおよかった。

プール(2009)

主演╱ 小林聡美  監督╱ 大森美香2009年 ( 日本)

「かもめ食堂」「めがね」に続く、まったり系第3弾だそうだ。
第4弾は「マザーウォーター」だった。
基本的にどの映画も、生活感のあまり感じられない登場人物たちが
まったりした時間を過ごす。ただそれだけ。
本作では、うまく行っていない親子、余命短い女性、親のいない現地の子ども、
一見普通だが過去に日本で何かあったかも知れない青年、の5人が、
チェンマイの地でふぁ〜っとした時間をともにする。
本作に関して言えばそれは心地いい反面、不気味でもあり、腹立たしくもあった。
ところどころに身勝手さや無責任さを感じてしまったからだろう。
それが制作者の狙いだとすればこの映画は成功したと言えるだろうけど、
きっと違うだろうな。
あと、「取って付けた感」もあったな。
ともかく、何匹目のどじょうを狙って何本か制作してはみたものの、
第1作目の「かもめ食堂」はどれも越えられなかったという話だろう。

湯を沸かすほどの熱い愛

主演╱ 宮沢りえ  監督╱ 中野量太2016年 ( 日本)

【ネタバレ注意】
哲学的には、「愛」は3つあるそうだ。
友愛「フィリア」、性的な愛「エロス」、無償の愛「アガペー」。
そしてタイトルにある「愛」とは、「アガペー」である。
夫の連れ子に対し惜しみない愛情を注ぎ、
夫の浮気相手の子どもにも同様の愛情を注ぐ。
そんな主人公に、周囲の人々は自然と心惹かれていく。
しかし主人公もまた母親の愛情を知らずに育った過去を持ち、
周囲への愛はその裏返しだとも言える。
本当の親の愛を知らないから、
愛とは何かを常に探していたのかも知れない。
そこには自己満足もあっただろうし、
もしかしたらそれが大半だったのかも知れない。
本当じゃない家族でも、
心さえ繋がっていればそれなりに幸せなのだ。
でも本心が求めていたのは、やっぱり生みの親からの愛だった。
愛を知らない主人公だったが、
最後は愛に満たされて旅立っていく。
ラストシーンは賛否両論あるだろうけど、
タイトルからくるオチとしてはこれが正解だろう。
「おくりびと」を観て間もない時にこの映画を観たせいもあり、
なおさら胸に響くものがあった。

蜜のあわれ

主演╱ 二階堂ふみ  監督╱ 石井岳龍2016年 ( 日本)

二階堂ふみもメジャーになったものだなとつくづく思う。
「ほとりの朔子」や「がまの油」を観ていた頃は
映画でしかほとんど見かけなかったのに。
室生犀星が晩年に発表した小説の映画化らしく、
金魚を擬人化したファンタジーだそうだ。
よくできてはいたが、実写化はビジュアルを限定してしまい、
想像力を働かせる余地をなくしてしまっていた。
真木よう子は、長髪は似合わないな。
芥川龍之介役の高良健吾がイメージにピッタリだった。