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いやぁ、映画って本当にいいもんですね。〈その2〉

先月に引き続いて映画の話

これまで観てきた映画の中で、無理矢理ナンバー1作品を決めるとすれば「ニュー・シネマ・パラダイス」になると先月書きました。それについてブログが炎上するほどの反響をいただきましたので(ウソ)、自分でも改めて考え直してみることにしました。その結果、しいてあげるとすれば、現時点でのナンバー1はやっぱり「ニュー・シネマ・パラダイス」でした。
しかしナンバー1はあくまでも総合評価ですから、どうしても「無難」な作品になってしまいます。なので「ニュー・シネマ・パラダイス」が1番面白かった映画かと言われれば違うような気がするし、1番感動した映画でもないような気がします。でも総合点で言えば「ニュー・シネマ・パラダイス」になってしまいます。いわば、映画の中の優等生ってところですか。
あまりにも暴力的だったり、難解だったり、嗜好が偏っている映画はナンバー1に選びづらいですよね。あと、これはあくまでも自分の価値基準ですが、映画は現代人が観てもわかりやすい作品であって欲しいと思っています。例えば黒澤明監督の「羅生門」は、公開当時の人々からすれば新技法を駆使したすばらしい作品なんでしょうけど、現代人である自分からすれば画面はモノクロだし、セリフも聴き取りづらい。そういうのがダメというんではなくて、ナンバー1とかを選ぶ際にはマイナス点になってしまいます。そういう意味で「ニュー・シネマ・パラダイス」がナンバー1になるわけです。何だか「ニュー・シネマ・パラダイス」をナンバー1に選んだ言い訳っぽくなってますけど、そういうわけなんですよ。

黒澤明監督の作品について

黒澤明監督の映画作品は、「影武者」と「乱」ぐらいはだいぶ以前に観ていたものの、その他の作品は2010年秋以降に観たものばかりです。初期の頃の作品などは若い頃だったら絶対に観なかったでしょう。「姿三四郎」や「素晴らしき日曜日」あたりは時代を知るという勉強のつもりで観ないとちょっと苦しかったですね。ウィキペディアによると彼が監督作品は全部で30作あり、その中で既に24作品を観賞していました。まだ観ていないのは、「一番美しく」「虎の尾を踏む男達」「野良犬」「生き物の記録」「蜘蛛巣城」「デルス・ウザーラ」の6作品。そのうち「デルス・ウザーラ」は既に録画しているので観ようと思えばいつでも観られる状態です。「蜘蛛巣城」は矢を打ち込まれるクライマックスシーンが有名すぎて、今更観てもなぁという気がしないでもありません。だからあんまり映画のクライマックスシーンをテレビで流さないで欲しいなぁと常々思っています。
黒澤作品でナンバー1を選べと言われたら、これは簡単です。自分の中でのナンバー1は、文句なく「椿三十郎」です。1作目である「用心棒」は男臭いハードボイルドアクションで、クリント・イーストウッド主演作の「荒野の用心棒」として丸パクリされるほど面白いのは言うまでもありません。それが2作目では喜劇かと思うぐらいお笑い要素満載の娯楽作品に仕上がっているんですから、黒澤明って凄いなと思いました。黒澤作品の中で1番笑える作品といってもいいでしょう。どれも好きなシーンばかりですが、1番好きなのは押し入れの小林桂樹とのやりとりですね。古い映画ではあんまり笑わないんですけど、「椿三十郎」だけは大笑いした記憶があります。
森田芳光監督のリメイク版「椿三十郎」も観ました。確かシナリオはオリジナルのままで一切手を加えていなかったんでしたっけ。織田裕二の椿三十郎も個人的には違和感なかったし、充分面白い作品でした。紅白の椿を落とすシーンはカラーならではであり、黒澤監督もこのシーンだけはカラーで撮りたかったんだろうなと思います。
あとはもちろん「七人の侍」と「赤ひげ」も面白かったし、現代劇では「天国と地獄」がよかったですね。評価の高い作品でいうと、「隠し砦の三悪人」は面白いは面白いけどいまひとつでした。聴き取りづらいし、特に左卜全のセリフには、邦画でも字幕をつけて欲しいぐらいです。あと、姫様役の女優の演技が自分にはどうしても大根にしか感じられず、せっかくの作品の面白さを台無しにしてしまった気がしてなりません。いわゆる興ざめってやつです。「隠し砦の三悪人」はリメイク版も観ました。「椿三十郎」と違ってアレンジされすぎて違う恋愛映画になってしまっていたのでちょっと残念でしたけど、姫役(長澤まさみ)はオリジナル版よりよかったので良しとしましょう。
「どですかでん」以降は、ん〜という感じですね。きっと映画への情熱が崇高な方向に向かってしまい、娯楽と言うよりは芸術に近づきすぎたのが原因なのかも知れません。ただひとつ、「影武者」を勝新太郎で撮影できていたらかなりの名作に仕上がっていたのではないかと、それが悔やまれてなりません。仲代達矢はどちらかというと上杉謙信のイメージで、武田信玄はやっぱり勝新太郎ですからね。

高倉健と菅原文太と勝新太郎

勝新太郎は、若い頃はどちらかというと嫌いな俳優でした。「パンツ事件」とかありましたから、ネガティブなイメージしか持っていませんでした。勝新太郎を始め、高倉健と菅原文太もヤクザ映画が中心でしたから彼らの映画はほとんど観ていません。
2010年秋以降、これまで敬遠してきた映画こそ観てみようではないかと思い立ち、ケーブルテレビで放映しているのを見つけては録画して観始めました。当たり前ですけど、3人とも素晴らしい俳優だなとつくづく感じています。そんじょそこらの俳優とは、存在感が違う。
健さんの映画でナンバー1を選ぶのは、これはちょっと難しいです。「昭和残侠伝」などの侠客映画も好きだし、「八甲田山」などの軍隊映画も好きだし、「居酒屋兆治」なんていう平凡(?)な役柄の映画も好きです。意外なところでは、「幸せの黄色いハンカチ」が面白かったですね。「幸せの黄色いハンカチ」と言えば、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞やブルーリボン賞主演男優賞を獲得するなど名作中の名作なので意外でも何でもないでしょうけど、前述した「蜘蛛巣城」と同じように、いや、それ以上に黄色いハンカチが風になびくシーンばかりテレビで放映してしまうので、うんざりしていました。刑務所を出所して、奥さんに会いに行く。果たして奥さんは待っていてくれるのか、それとももう愛想を尽かして逃げ出してしまったのか。ハラハラ、ドキドキ……という映画なのに、観る前からハッピーエンドの結果がわかってしまっている映画なんて、自分に言わせれば最低です。でも、健さんが亡くなったのを機に、仕方なく観ました。結末知ってるし、観る前からうんざりしていましたけどね。でも、さんざん観させられているはずのあのハンカチのシーンで、わかっているのに「黄色いハンカチを出してくれてるかな」なんてドキドキしちゃったりして、大量の黄色いハンカチが風になびいているのを観た時には「健さん、よかったね」と感動してしまいました。だから結末を知らないで観たら、もっと感動できたんでしょう。

締めとして

とまぁ、2ヵ月に渡って映画の話を書きましたけど、「他にトップページで書くような題材が見当たらなかった」というのが本音です。自分はわざわざ映画館に足を運んでまで映画を観ているわけではないし、強い思い入れがあって観ているわけでもありません。いわば、「日常の息抜き」ですね。あれ、先月「趣味」だと書いたのに、「息抜き」までランクダウンしちゃった。まぁ、それだけ衣食住と同じように日常化したんだと思います。映画観賞が趣味じゃないとすると、新たな趣味を見つけねばなりませんね。さて、何にしようかな。